題：「 母 」

「健治さんすみません、おばあちゃんが歯医者さん終わって・・迎え頼みます、私お手入れが入っているから・・。あっ！それから、さっき送って行く時、雨上がりで庭の石段濡（ぬ）れていて危ないから、家に入るまでみてあげてね」「うん・・」と無愛想に返事しました。
母(83歳）を歯医者さんまで迎えに行き、車中、特別話をする訳でもなく家に着き車庫に入れると母が「ハイお世話様でした」と・・・家に入るまで見てあげてと言う妻の言葉は忘れなかったが、つい面倒で「雨降ったあとだから足元気をつけて！！」と一応声かけました。
夕方まで普通に仕事をし、夕食を食べ母と妻が二人きりになった時、母がうれしそうに「今日健治がね、歯医者さんに迎えに来てくれて、私が降りる時『石段濡れているから気をつけて』って言ってくれたんだ・・・私嬉しくて、有り難くって涙でちゃったよ！」って言ったそうだ。思わず苦笑してしまった妻・・・。「よかったね！！」

あとで「毎日々優しくしていても、やっぱり無愛想な実の息子がたまにかける優しい言葉には負けちゃうんだね。でも、きっと私もそうなると思うけど・・」妻の説である。