現在、日本で不妊治療の件数は約50万件、約4.4組に1組の夫婦が不妊治療を受けているとされています。
不妊症とは
不妊症とは「生殖年齢の男女が避妊せずに通常の性生活を続けた場合に、1年以上(35歳以上の場合は6ヵ月以上)たっても妊娠に至らない状態」をいいます。不妊症の分類は女性に原因がある場合を女性不妊、男性が原因の場合を男性不妊と分類しています。女性不妊は、一度も妊娠しない場合を原発性不妊、妊娠経験があるのにもかかわらずその後妊娠しない場合を続発性不妊と呼びます。
不妊症の原因
不妊症の女性側の原因は約40%、男性不妊が約30%、女性の原因の中でも卵管因子20%、卵巣因子が20%, 子宮因子が18%、免疫因子が5%、残りは原因不明となっています。
日本で行われている主な治療方法
一般的な不妊治療(保険適用)
- タイミング療法
- 排卵誘発剤などの薬物療法
- 人工授精
生殖補助医療(条件により保険適用3割負担)
- 体外受精(1回あたり自費治療費 約30万円)
- 顕微授精(1回あたり自費治療費 約40万円)
*年齢や治療回数により保険診療の対象になり3割負担ですみます
なかなか妊娠せず、生殖補助医療に進んだ場合、治療費も高額になります。また、これらは外からホルモンを補充するなど人工的に体のバランスを正常に持っていくだけで、治療が長引くほど子宮や卵巣に過度な負担がかかります。治療期間が長いからといって妊娠しやすい体に向かっているわけではないのです。
「当店では基本的な妊娠する力を重視し、生理周期と生理の状況を見ながら、子宮や卵巣の機能を正常に保つことを第一に妊娠するための体作りのお手伝いを致します」
現在、病院で不妊治療中の方はもちろん、これから治療を始めようという方は是非一度ご相談ください。病院での治療を始める前に、体作りをしておくことは非常に役立ちます。
不妊症に対する当店の対応
不妊症の原因がはっきりしている場合(多嚢胞性卵胞症候群、黄体機能不全、子宮筋腫、子宮内膜症、チョコレート膿疱、高プロラクチン血症、抗リン脂質抗体など)はその原因を改善する漢方薬を中心に、子宮や卵巣を元気にする漢方薬を使用します。
原因がはっきりしない場合は、生理の周期を生理期、低温期、排卵期、高温期に分け、生理期は子宮内膜をきれいに排出させる、低温期は卵の発育を促す、排卵期は排卵をスムーズにする、高温期は着床を維持させる。このような機能をサポートする漢方薬をそれぞれの周期にあわせて使い分けます。子宮や卵巣を元気にするという考え方は同じです。
【漢方での3つのアプローチ】
不妊症と冷え
「手足が冷えやすい」「冷え性だ」となにかと寒がるのに、冷えの問題に意外と無関心な女性が日本には多く見られます。 冷えの原因には、冷房、冷たい飲食物、薄着のほかに、ホルモンのアンバランス、自律神経失調やストレスに関係するものが多くあります。特に下半身の冷えで気をつけなければならないのは、子宮、卵巣、輸卵管など妊娠に直接関わる重要な器官がおさまった骨盤への影響です。冷えは骨盤の血液の流れや働きを著しく悪くしてしまうからです。これが意外にも不妊の原因になることが多いのです。中国漢方では補血薬や補陽薬という種類のお薬を使いこれに対応します。
不妊症と瘀血(おけつ)
瘀血とは血液の流れが悪いことをさします。女性の場合、瘀血の症状として、生理痛がつらい、月経血に塊が混じる、色がどす黒く粘りがある、生理中に頭痛や肩こりがあるなど生理にまつわる不調が多く見られます。 この瘀血を改善することで不妊の原因となる子宮内膜症や子宮筋腫が起こることを防ぎ、骨盤の血流を改善し、新鮮な血液が十分に卵巣や子宮に行きわたるようにします。これだけでも卵胞の発育がよくなり、排卵や着床が促進され、妊娠に有利に働きます。 中国漢方では活血化瘀(かっけつかお)という方法でこれに対応します。
*年齢が高くなるほど瘀血体質になりやすくなるため、特に35歳以降では瘀血への対応が重要になります。
不妊症と腎虚(じんきょ)
中国漢方では発育、老化、生殖、は腎の臓器がもっとも関係するとされています。この腎の働きが悪くなるとホルモンのバランスが崩れます。この状況が続くと、実際の年齢より卵の発育が悪くなったり子宮内膜をきちんと肥厚させられず着床しにくくなったりします。言い換えれば腎を正常に保つことでからだの年齢を「若返らせる」効果があるのです。この腎虚の改善に中国漢方では補腎薬という種類の漢方を使います。
基本的にこの3つの方法を組み合わせながら、卵巣の働きをよくして、良い卵を作り、受精卵が子宮内膜に着床するための適度な厚みのある、やわらかい子宮内膜を作ることが重要なのです。卵の育ちが悪いと排卵が遅れたり、子宮内膜の状態が悪いと生理に塊が混じったり、生理痛がひどくなったり、さまざまな症状が現れます。
自分でチェック。正常な生理・生理周期の目安とは?自分でチェック。正常な生理・生理周期の目安とは?
生理周期 25~38日
生理初日から次の生理の前日までの日数です。一般に排卵を伴う生理周期を指します。この期間より短かったり、長かったりする場合は注意しましょう。
生理持続期間 3~7日
年齢によってもちがいますが、一般にこの期間であれば正常です。この範囲未満または超える場合は注意が必要。
経血の量 約50~100ml(総量)
日中、昼間ナプキンをあてていて、1時間ほどで経血が溢れるまたは、生理2日目でも1日でごく少量しかナプキンに経血がつかないようなら正常とはいえません。
経血の色 赤~暗赤色
黒っぽい場合や、あまりに薄く水っぽい場合は注意です
経血の質 さらさらとした液状
生理の経血に塊が混じったり、レバー状のどろっとしたものが混じる場合は正常ではありません。
生理前の症状 胸が張って痛い、イライラする、食欲が増す
ホルモンのバランスが少し崩れていたり、プロラクチンというホルモンが高い場合などが考えられます。これらも正常な症状とはいえません。
※ 生理痛は基本としてないことが望ましく、あっても鎮痛剤を飲むほどではないことが原則です。
これらは自分でチェックできる生理周期、生理の症状です。当てはまる項目が多いほど、妊娠するための障害となることがあります。生活習慣を整える、漢方薬を服用するなどで、これらの症状を少しでもなくしていくことが大切です。